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ベンツとチュッパチャプス

ブランドと聞くと、高級なベンツやフェラーリを思い浮かべる人も多いかと思います。それは決して間違いではありません。しかし、40円のチュッパチャプスchupa chups)だって立派なブランドです。

市場競争は激しく、高品質な商品が短期間で発売される中、必要以上にハイスペックな商品で溢れかえっています。価格競争の波にのまれた時、潤沢な生産ラインのある企業に中小企業が勝てる予知は正直ありません。そんな物に溢れた今だからこそ、競合の多い市場の中で生き残る為に、ブランドを作る際最も重視するのは、『選ばれる』ブランドになることです。

デザイン経営宣言

2018年に経済産業省・特許省から発表された、『デザイン経営宣言』では、デザインにかける費用とその効果について、

欧⽶ではデザインへの投資を⾏う企業が⾼いパフォーマンスを発揮していることを⽰している。デザインに投資すると、その4倍の利益を得られ、過去10年間で2.1倍成⻑したと発表しました。

この調査を⾒ても分かる様に、「デザイン」に投資をする企業が⾼い競争⼒を保っていることが分かります。

長く生き残るブランドになる為に

これだけ、競合の多いキャンディー市場の中でチュッパチャプスchupa chups)は、なぜ生き残る事が出来たのでしょうか。そこには作り手の人間的視点が、顧客の潜在的なニーズに気づいていたからではないでしょうか。

では、飴を食べる時を想像してみてください。

飴だけに集中して姿勢を正して静かに舐めている人がどれくらいいるのでしょうか?中には、途中で『別のものが食べたい』『しばらく置いてから後で食べたい』そう思う人もいるでしょうし、飴を舐めるのは、大人に限らず小さな子供もいます。途中で飴玉を飲み込んでしまうと危険なくらい小さな子供もいるでしょう。

プロダクトとしての仕様
飴を舐める事を中断する可能性がある
包み紙をつける
小さなお子どもが途中で飲み込んでしまう可能性がある
棒をつける

デザイン

飴を食べると甘くて幸せな気分になる
赤と黄色のブランドカラー
球体の飴を包む包紙の天面
ヒナギクの花をモチーフにしたマーク

プロダクトの仕様やデザイン要素を解体すると、その経緯が見えてきます。

こういった人を観察し、気持ちを体感、想像する人間中心的な視点から顧客が本当に必要としているものを発⾒し、形状へ磨きあげてゆく。さらにそれらを適正なイメージやビジュアルに結びつけて主導する。ブランディングに必要不可欠なデザインワークです。一見遠回りにも思えるそのプロセスを踏むことにより、他の商品にはない唯一無二のブランドとなるのです。そして結果的に、チュッパチャプスchupa chups)は30年以上愛され続けているブランドとなりました。

ブランディングは販売価格に限らず競合の多い市場の中で、特別なポディションを築く為には、なくてはならない重要な対策と言えるのではないでしょうか。